サメ男の映画レビュー

鮫男の独断と偏見でお送りする映画レビュー

【こんな山崎賢人見たくない‼】映画「劇場」のお話

「劇場」(2020)

監督 行定勲

原作 又吉直樹

 

又吉直樹の小説を映画化。Amazonprimeにて視聴。

 

それでは参りましょう!

 

1.「劇場」のあらすじ

 脚本家兼演出家の永田(山崎賢人)は高校時代からの友達と劇団「おろか」を結成。

しかし前衛的な作風か酷評の嵐、劇団は壊滅状態になってしまう。劇団員にも見放さ

れ、渋谷を徘徊する永田は服飾系の学校に通い役者を志す沙希(松岡茉優)とひょんな

ことから惹かれあい。永田は沙希の家に住み込むようになる。

理想と認められない現実との間でもがきながらも演劇業界に立ち向かい続ける永田を必

死に支えようとする沙希。

果たして二人は幸せになれるのか。

 

2.こんな山崎賢人見たくない!のお話

 もー山崎賢人演じる永田がダメダメすぎる!これでもかとひも男。

「KINGDOM」のあの主人公感は何だったんだろうか。あるいみ主人公感あるけど、、

彼女の沙希に四六時中バイトをさせ自分は逃げるように散歩したり。光熱費だけでもと

いわれ払う金もなくいい感じのカフェでカレー食っちゃうし、払えないことを責められ

るのが怖くて逃げるようにゲーム三昧しちゃうし。仕事でもやたらプライド高くて他者

の意見なんか聞くわけでもなく、、、

こんな山崎賢人みたくない!!という辛さ。天下の大将軍‼とか言ってたあの頃の賢

人を返してよぉ

個人的にはこの陰に振り切った演技の方が彼にあっていると感じてしまった。それほど

彼の自然な演技に引き込まれていた。

 

3.守れない恐怖のお話

 そんなダメダメな永田を支える沙希。「ここが一番安全な場所だよ」そう彼女が笑い

梨のあるあの部屋が一番安全だった。お金がなくても確かにそこには幸せがあふれてい

た。だがそんな沙希を何からも守れない自分その現実が永田にとっては一番恐怖で沙希

に認められないかもしれないという現実が一番嫌で。そんな現実から逃げる日々。そん

な逃避行を見てるのが辛かった。

そして沙希は酒浸りになることが多くなった。そんな沙希に罵倒されるシーン。「全然

褒めてくれないよね?」これまで必死に永田を支えてきた沙希も永田と同じように認め

られたかったのだ。みんなきっと誰かに褒められたいだけなのだ。

だんだんと壊れていく沙希。そんな彼女を守れない永田。

守れないということがこんなに怖かったなんて思いもしなかった。

2人乗りで桜を見に行くシーン。この世で一番切ない2人乗を見た。

 

4.「劇場」の総評

 山崎賢人のあのダメダメ感と松岡茉優のひたむきさが演技としてすごい良かった。沙

希のだんだん壊れていく演技素晴らしかったです。

2人のやり取りを見ていく中でこっちまで幸せになる分、辛い映画でもあった。

又吉先生は嫉妬とか劣等感とか正直になれない気持ちとかやり場のないどうしようもな

い感情を表現するのがうますぎる。

 

やりきれない日々に押しつぶされそうになりながらも人はどこか安住できる場所を探

す。あの子が笑い梨のあるあの部屋は確かに世界で一番安全だった。だけどあの子にと

ってそこはそうではなくなってしまったとき。きっとあなたもこのラストに涙を抑えら

れずにはいられないだろう。

とてもよかった。心に染みわたる映画でした。二人は幸せになれたのかな。

 

「誰しも大切なものを守れるようになりたいですね。」

 

それではまた。