【洋画版"告白"】映画「聖なる鹿殺し」の話
映画「聖なる鹿殺し The Killing of a Sacred Deer 」
監督 ヨルゴス・ランティモス
選ぶことのできない選択肢を強要された経験ってありますか?
究極の選択を迫られたとき人はどうなってしまうのか。
ある家族と一人の少年のお話
映画「聖なる鹿殺し」
それでは参りましょう!
ストーリー
心臓外科医のスティーブンは、美しい妻と2人の子供に恵まれ豪邸にくらし順風満帆な生活をしていた。医者志望のマーティンという少年を家に招き入れた日を境に日常が崩れ始める。
この映画をオススメする人
・オススメしたい人
ニコール・キッドマンのポロリが死んでも見たい人
胸糞映画に打ちのめされたいMっ気のある人
キューブリック風カメラワークを感じたい人
・オススメしない人
精神的にすぐ病んじゃう人
考えこんじゃう人
すべて解明されないと我慢できない人
レビュー
【綺麗なものほど気持ち悪い】
この映画とにかくずっと不気味でずっと不安でずっと気持ち悪い。だが登場する人物も美しいし、風景や豪邸のセットも美しいし綺麗ではあるがどこか気持ち悪い。
このどこからきたかわからない不気味さの正体には3つあると考えている。
音、カメラワーク、マーティンの目だ。
まず"音"だ。
どんどんスティーブンはマーティンに精神的に追い詰められていく。この主人公の動揺
や不安が視聴者にも伝わるかのようにヴァイオリンの低い音、虫の羽音のような低い重
い振動する音がする。またこの音がでけぇ。個人的にこの音の部分が1番嫌だなと感じ
る物でした。
次に"カメラワーク"だ。
やたらゆーっくりズームインしたり、逆にゆーっくりズームアウトしたり見えなくなる
ものが見えるようになったり、逆に見えなくなったものが見えなくなったり、こういっ
た要素によって不安が増す気がした。ボブがエスカレーターを降りて倒れてしまうとこ
ろなんかものすごい遠い俯瞰で見下ろす撮り方。普通じゃない。普通表情抜くやろと言
わんばかりの瞳で睨みながら笑
この撮り方何かの存在を意味づけるような撮り方をしているなーと。どこか綺麗な映像
であるがなんか綺麗すぎる。この過度な美が気持ち悪さを生んでる。
そして"マーティンの目"だ。
この作品マーティン役のバリー・コーガンの不気味なオーラが染み渡っていたなーと。
彼の目は空っぽなんだけどなにか訴えかけられているような目をしていた。いい演技と
いうか不思議なオーラを持つ俳優だなと思いました。
【洋画版「告白」、圧倒的復讐劇】
これはマーティンの復讐劇だ。マーティンの父親は飲酒をしたスティーブンの医療事故により命を落としてしまい母親も失業。この恨みからマーティンはスティーブン一家に復讐をすることを決心する。この圧倒的な復讐劇はまるで中島哲也監督の「告白」のよう。だがそれよりもこの復讐劇は不可思議なものだ。
主人公の子供達が原因不明の病で倒れる。家族の中で1人犠牲を選ぶなら全滅は免れるということらしい。マーティンがどのように子供達を病に陥れたのかなにも解き明かされないのもまた気持ち悪い。魔術なのかウイルスなのかはたまた薬なのか…。
マーティンに容赦のない選択を迫られるスティーブン満身創痍の末、下した決断とは…
決断した結末も胸糞だし、全く予想のつかない展開へ。決断を下すまでの過程も顔をし
かめてしまうほどの胸糞の悪さ。
主人公達の思考が元々命に近い医者という立場なのか合理的なものではあるが倫理観
にかけるものだなーと。冒頭からなんかこの家族機械的というか冷たい雰囲気が漂うこ
とからも命に対する冷たさが浮き彫りになっているなと感じる。命の重さを感じること
ができなくなったスティーブンに命の選択をさせることによって命とはなんぞやと再度
問いかけるマーティンの不気味な復讐映画だった。
ずっと気持ち悪い映画でしたがこの底知れぬ不気味さに引き込まれること間違いなしです!
それでは。